唐突ではあるけども、ADHDな一紫がお薦めしたい、海外ドラマ「グリム」!
単純なモンスターハンターストーリーではない。
人間社会にも存在する「少数派」への問題提議をさりげなく行っているナイスドラマ。
最近ハマっているのが海外ドラマ「グリム」。
このドラマは単純な「特別な能力を持った主人公がモンスターをやっつける」というありがちな設定では終わらない。
現実社会にもある「少数派」が人間社会に馴染むため、その苦労や苦悩をまざまざと見せつけてくる。
「グリム」の世界の中で、人種は大きく3種類に分かれている。
まず普通の『人間』。わたしたちだ。
そして『ヴェッセン』。人間社会で人間として暮らすが、その正体はグリム童話に出てくるようなモンスター。狼男などもいる。人間に正体を明かすのは御法度とされ、人間として生活している。つまり、人との共存を目指している。(もちろん悪い奴もいる。比率的には人間のそれと変わらないんじゃーないか?)
最後に『グリム』。『ヴェッセン』の首を問答無用に切り落す、ヴェッセンにとっては恐怖の対象。しかしヴェッセンにとってはおとぎ話に出てくるような、伝説上に近い存在。
主人公のニックはこの「グリム」なのだが、覚醒するまでは普通の刑事として生活していた。
正義感に溢れ、他のグリムとは違い「ヴェッセンだから」と問答無用で首を落としたりはしない。人間だろうとヴェッセンだろうと「犯罪者」を逮捕しようとする、「ちょっと変わったグリム」だ。
↓狼男(ブルットバット)のモンロー。人の良さそうな顔だが、
↓こんな姿に変わる。ちなみにサプリメントや菜食主義で性質を抑え、人間社会に溶け込んでいる。
戦いを避けて暮らしていたのに、ニックとの出会いでトラブルに巻き込まれるという大変な苦労人だ。(本人は楽しんでいるようだが)
このドラマの面白いところは、人間たちが伝説やおとぎ話として捉えているモンスター「ヴェッセン」が、全く普通に人間として生活しているところ。
狼男が普通に時計技師として真面目に仕事をしていたり、ビーバーのヴェッセンたちは、特技を活かして橋を建設する会社に勤めている。
それぞれの個性がキラキラ光っている『ちょっと怖くてちょっと笑える』面白いドラマなのだが、この「少数派」の苦悩や偏見は、自分たちに重なって見える。
体の健康な健常者や、脳がバランスよく発達している定型発達者は「多数派」だ。
体が不自由な障害者、もしくは私たち発達障害者などは「少数派」だろう。
そこにはお互いが知りえない感覚が確かにある。その為、目には見えない溝も生まれているのではないだろうか。
自分の存在を、多数派にひた隠しにして生きるヴェッセンたち。
しかし、偏見のない「ちょっと変わったグリム」であるニックとの出会いで、自分の正体を明かすことのできる人間もできた。
ハンクはニックの同僚の至って普通の刑事だったが、いまではヴェッセンの存在を知る数少ない人間の一人に。
自分たちがモンスターだなんて言うつもりはもちろんないが、「自分を悪く見られるのではないか」とちょっと怖がってしまう方にはこの「グリム」、一度は観て欲しい。
自分を理解してもらうことは大変かもしれないし、勇気のいることかもしれない。
しかし、「違うからこそ不思議で楽しい」こともあると、気付くきっかけになるのではないだろうか。